こんにちは、静岡市葵区の弁護士の浅野智裕です。
以前に、顧問弁護士のメリットなど話ました(顧問弁護士①)が、今回は少し違う話をしたいと思います。
今回は顧問弁護士は何をしてくれるの?ということについて話したいと思います。
顧問弁護士は、法律相談、契約書チェックなどを毎月一定額(私の場合月額5万円+税)でやることです。
こういうと、うちは弁護士に相談することはないよ、というご意見を聞くことがあります。
本当にそうでしょうか。
あるいは何を相談すればいいか、わかっていないということはないでしょうか。または、こんなことまで相談しても良かったとは知らなったということはないでしょうか。
法律相談と言っても色々な法律問題があります。
具体的に挙げていきますとざっとでも以下のものが考えられます。
①契約交渉で難航している、または契約内容を変更したいが難航している。どのようにすれば、相手が交渉に乗ってくるのか。この場合どうすればいいのか。うまくいかない場合、契約終了させることはできるのか。
②従業員との間で賃金について揉めている、残業代についてもめている。有給休暇や休職などでうまく話し合いがいかない。従業員が病気になって休職したまま復帰の目途が立たない。退職した従業員から不当解雇と言われている。
これらのことについて、労働組合から団体交渉の申し入れがあった。
③取引先が売掛金を払ってくれない。取引先の経営状態が悪そうだ、どのような手をうっておいたほうが良いか。どうすれば少しでも回収できのか。
売掛金の金額で揉めている。代金額の合意について食い違いが出ている。
納入した商品にクレームがあって、代金を支払ってもられない。どうすれば代金を支払ってくれるのか。
④また、会社自身のトラブルでなくとも、従業員の個人的なトラブルも顧問契約の一環として相談に乗ることがあります(私はそうしています)。従業員の離婚問題、遺産分割での紛争などが多いです。
⑤コンプライアンスチェック。会社の事業で法令に違反するようなことはないか。不適切と言われる部分はないか。また、会社の過剰な対応がネット上でいわゆる「炎上」することもあるので、それらになる可能性はないか。
⑥ガバナンスチェック。取引に当たって、会社法上の取締役会の承認が必要でないか、法律の専門家である弁護士にチェックをしておいてもらいたい。増資や事業譲渡、利益相反取引などが問題となります。
取締役の構成を変える場合にも会社法や定款に違反しないか。株主総会の運営は適切に行われているか(不適切なやり方では後で取消訴訟になる可能性があります)。
⑦株式管理。現在の株主の把握。今後、株主構成や割合を変える場合、会社経営に問題はないか。株式を移転する場合、どのような方法をとればいいか。やり方を間違えるときちんと株式が移転しないことがあります。
⑧事業承継。将来、事業承継をしたいがどのようにすれば良いか、誰に承継してもらうか、いつ承継してもらうか、段階的に承継してもらう場合、どのような手順でするか、どれくらいの期間でやればいいか。
⑨経営者保証ガイドラインに基づき、保証をしないようにしたいが、金融機関とうまくいかない、金融機関の説明に納得いかない、わからない。
ざっと挙げるだけでの以上のことが考えられます。また、企業によっては当該事業の業法(法律上規制のある事業)も絡んできます。
そういった意味で顧問弁護士に相談することはない、ということはないのではないかと思っています。
少なくとも中小企業の場合、しっかりした法務部の体制を整えることができない、総務が兼ねているなどの場合もあります。そういった状況で、法務部のサポートまたは外注という意味で顧問弁護士を有効活用することができるのではないかと思います。