こんにちは、静岡市葵区の弁護士の浅野智裕です。
今回はキャンプにまるわる法律問題の話をしたいと思います。
結論から言うと個人や家族でキャンプを楽しむ分にはほとんどキャンプ特有の問題はありません。身も蓋もありませんね笑。
基本的には、キャンプは限られた設備あるいはほとんど設備がないなかで各自が自然を楽しむものであって、設備がないが故の事故などは基本的には自己責任となります。なので、キャンプに来ていた家族に事故があったとしてもあまり運営者に責任が問われることはありません。もちろん、全くないわけではありません。設備に欠陥があったなどして運営者にも責任が出てくることもあります。しかし、それは設備をもっているほかの業種、例えば旅館、ホテル、銭湯、店舗、デパート、ショッピングモール、飲食店など設備を有している業種に共通する話で設備に欠陥があれば責任を問われるのは当たり前のことです。むしろキャンプでは設備がほとんどなく、それを前提に利用者が楽しむものなので、設備の欠陥などの問題はあまり発生しません。
しかし、少しケースを変えれば法律問題が出てくることはあります。それは学校などの団体でのキャンプで問題が発生した場合です。この場合、責任を問われる可能性があるのはキャンプ場の運営者ではなく、団体の主催者が責任を問われることがあります。キャンプ場は基本的には少ない設備で自然の中を各自が自己責任で利用してもらうことになりますが、団体がキャンプを主催する場合、多くの場合、参加者の安全に配慮する義務が出てきます。そして、キャンプ場ではもともと設備があまりなく、主催者の監督が不十分な場合には事故が発生してしまうことがあります。その観点で見ると実は多くの裁判例があります。
参考裁判例http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87934
こちらの事件では、刑事責任を問われたもので無罪となっていますが、1審では有罪となったようです。ここでは判断の適否を検討するつもりはありませんが、一人の尊い命が亡くなられたことは変わりません。こういったキャンプのイベントには児童が参加することが多いのですが、児童は大人では予想困難な行動に出ることがあり、こういった事故の多くは児童が予想外の行動に出て起きていることからも、大人の見張りというのは重要だと思います。
せっかくのキャンプですから安全かつ楽しくやりたいものです。