こんにちは、静岡市葵区の弁護士の浅野智裕です。
今回は債権回収の話をしたいと思います。
常識的な話ですが、企業の場合、売上はすぐに入金されずに掛け取引となって、翌月に1か月分の請求をすることがよくあります。特に少額で多数回取引をすると毎回入金するのも大変ですから、1か月まとめてとなるのはよくあることです。いわゆる売掛金というものです。
売掛金が正常に支払われればいいのですが、取引先企業の資金繰りが悪化した場合、売掛金の支払いが滞ることがあります。遅れた支払いが正常に戻ればいいのですが、遅れが続くこともよくあります。そして、いつか取引先が倒産してしまい、気付けば大きな金額の売掛金が回収不能となってしまうことがあります。
そうならないようにすればどうすればいいのでしょうか。
ここで私なりの考えを述べたいと思います。
①まず、売掛金はあまり溜めないことだと思います。
積りに積もって大きな金額になればこちらにも損害が大きくなってしまいます。そうなる前に被害を最小限にしておくということです。具体的には、掛け取引を止めることです。いわゆる現金取引が一番安全です。現金取引でなくても週掛けであったり、売掛金の滞納の上限額を設定するなども考えられます。
こういった方法をとっておけば、もしものときに被害が小さくできます。
②法的な手続きをとる。
債権回収といっても、取引先に行って少しでも回収してくるというものだとあまり効果がないことが多いです。本気の回収であることを見せるために法的な手続きを視野に入れた回収をするほうがいいです。それは裁判であったり、もう少し簡単な手続きであれば支払督促という手続きもあります。支払督促というのは裁判所を使った手続きですが、裁判所が内容に関与せずに、申立人からこのような督促が来ていますという案内を出します。特に異論がなければ強制執行ができるようになるものです。相手から異議が出てしまえば通常の訴訟になってしまいますが、金額自体に争いがなければ、和解の話し合いになることが多いです。こういった本気の回収行為をとることで取引先も返済をしてくれることがあります。
③債権回収は早めに
早めに回収するというのは当然のことですが、上記②の法的な手続きを早めというのはできていない会社が結構あります。法的な手続きではなく、取引先に行って、催促するということを繰り返しているということがあります。そうこうしているうちに倒産になってしまうと回収できません。例え、法的な手続きをとったとしても、遅ければ回収は難しいです。それは弁護士が入っても同じだと思います。そういう意味で、取引先が危なそうだとなる前の早期の段階から法的な手続きをとるほうが良いと思います。
また、債権回収を弁護士に依頼することも考えても良いと思います。もちろん費用がかかりますが、依頼前に費用の確認をして、回収の見込みがありそうであれば依頼するということで良いと思います。それも早期が良いと思います。例えば売掛金の滞納が200万円を超えたら弁護士に回収を委任するといった機械的な運用でも良いと思います。
また、もし会社に顧問弁護士がいれば、通常よりも割引して回収をしてくれるかもしれません。
私の感覚としては危ないところはそのうち倒産することが多いので、早期の段階でいくらかでも法的な手続きをとっていくらか回収しておいたほうが良いと思います。