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相続法改正⑥ 相続させる旨遺言の対抗要件

こんにちは、静岡市葵区の弁護士の浅野智裕です。

引き続き相続法改正の話をしたいと思います。

今回は相続させる旨の遺言の対抗要件です。今回はかなり学問的な話になります。

 現行法で、いわゆる相続させる旨の遺言をした場合、遺言により当然に相続の効力が発生して、第三者に対しても対抗要件がなくても当然に対抗できると解釈されてきました。

例えば、相続させる旨遺言で、長男に不動産が承継された場合、二男が遺言の存在を知らずに自己の相続分を第三者に売却して、共有持分の移転登記をしたときでも長男は登記なくして第三者に所有権を対抗できると解釈されています。

しかし、それでは取引の安全、登記の信頼性を害するということで、改正され、対抗要件すなわち不動産の場合、登記がなければ第三者に対抗できないように改正されました。

上記の例でいうと、長男は、第三者よりも先に登記を備えなければ、第三者に所有権を対抗できないことになります。つまり第三者が先に登記をしてしまうと長男は、二男の相続分相当の共有持分の権利を失うことになります。そうするとで、第三者の保護を図っていることになります。

相続分の譲渡という事例はあまり考えられないかもしれません。しかし、二男に貸金債権を有する金融機関が、二男の相続分を差し押さえるという状況は考えられるかもしれません。その意味で実務的にも影響のある改正だと思います。 

この改正の施行は公布の日(平成30年7月13日)から1年以内となっています。