こんにちは,静岡市葵区の弁護士浅野智裕です。
今回はピエール瀧さんの公判の話です。
先日の逮捕のニュースは話題になり,ワイドショーでも再三報道されてきました。
そのピエール瀧さんの公判が本日ありました。
ピエール瀧さんは,公訴事実を争わなかったので,もっぱら情状面の審理となったようです。
情状証人では,一時は電気グルーヴのメンバーの石野卓球さんが出るのではという報道がありましたが,実際にはピエール瀧さんを治療した医師が情状証人として出ました。
情状証人は,通常,被告人の情状面で,今後の更生や再犯可能性が低いことを立証するために証人に証言してもらうことになります。親友,友人,仕事仲間などが情状証人になることは,無いとは言い切れませんが,実際には少ないです。情状証人は,主に被告人の生活を監督したり,見守ったりする人がなります。親友,知人,仕事仲間は確かに仲が良い間柄かもしれませんが,一番身近な人といえるか,ということになると通常は家族のほうが身近になります。ですから,情状証人は多くは配偶者,親などが多いです。配偶者,親に被告人の生活を監督してもらったり,心身に配慮していくなど証言してもらうのです(裁判終了後にも実際に監督してもらいます)。そういう間柄の人がいない場合に情状証人として友人,知人を考えます。
ですから,石野卓球さんが情状証人として出るか,という報道がありましたが,ピエール瀧さんの家族などいれば石野卓球さんが情状証人として出ることはないだろうなと思っていました。
そして,医師などの専門家がいる場合ですが,これは医師も家族もどちらも情状証人の可能性があります。特に薬物事件ですと主治医が情状証人として出ることがあります。専門家として薬物依存についての治療状況や今後の見込みなどを公判で証言することで今後の再犯可能性が低い(ない)ことを立証してもらうことになります。
家族と医師のどちらに出てもらうか,あるいは両方を申請するか,ここまでくるとご本人の状況や裁判所の意向なども勘案して決めることになると思います。(情状証人を2人申請しようとして裁判所から情状証人は2人もいらない,早く終われるように1人にしてくれと言われることがありますし,実際,言われたことがあります。それでも情状証人を2人にしてくれということもありますし,じゃあ情状証人を1人に絞るということもあります。ここらへんは本当にケースバイケースで一番良い方法を考えてやります)
今回も色々な状況を踏まえて医師のみに情状証人として証言してもらったのだろうと思います。
そして,ピエール瀧さんの公判は,自白事件ということもあって,1回で結審して次回判決言い渡しのようです。求刑は懲役1年6月のようです。コカインの事件で初犯,少量ですと相場通りというところだと思います。特に重くも軽くもありません。
判決言い渡し期日は6月18日のようです。ピエール瀧さんのような多彩な才能をお持ちの方にはしっかり罪を償ったうえで,薬物依存を治して,また芸能の世界に復帰して活躍して欲しいと思います。