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「いだてん」がおもしろい

若狹です。

 

なんだか世間が視聴率の話題ばかりで寂しい限りですが、NHK大河「いだてん」、めちゃくちゃおもしろいと思います。

先日の11月24日放送分、第44回「ぼくたちの失敗」の回では、浅野忠信さん演じる川島正次郎氏が、主人公側から見るととてもイヤ~なヤツでありながら、立場や見方を変えればきっと「功」の部分も大いにあるんだろうなという絶妙の名演技でした。まさしく食えないヤツ。
ご本人もツイッターで「自分で見てても憎たらしい」とコメントしたようですが笑。
私がティーンだった2000年前後も邦画界で独特の存在感がある方でしたが、年を重ねてまたさらにいい役者さんになりましたね。

そして、なんといっても阿部サダヲさん演じる主人公田畑政治氏と一緒に視聴者も「あっ…」ってなったであろう、“あの”件の伏線回収。観ながら僕も声を出してしまいました。ネタバレなしでは何も言えませんが、あのときのあの人のあの表情が後のあの場面でああなるなんて、ですねえ。脚本と演出と役者の妙、とはああいうことをいうのでしょう。

「優れた表現というものは、局所的で特殊なものを描いていたとしてもときに普遍的な真理をついてしまう」というのが自分の持論なのですが、「いだてん」はまさにそういうドラマと思います。
今回も、1962年の東京オリンピック前の招致状況を「史実どおりに」描きながら、そのことが意識的にせよ無意識的にせよ同時に2019年の我々に対する芯を食った批評・諧謔になっているのです。

 

視聴率があまり振るわないのは、「スポーツ」と「時代」や「落語」との絡みがハイコンテクストすぎるからかしら?一応人並みには近現代史の前提知識があると思いたいですが、落語はほとんどわからないのが少し悔しいです。視聴後に何故今回この噺が引用されたのかを調べ直すのも楽しいですのですが。
一視聴者としては人気作だろうが不人気作だろうがどちらでもよいのですが、“ちゃんと”観るとこんなにもおもしろいのに数字だけをもってこの作品の関係者が低く評価されるというのは寂しいですね。(なので、微力ながらネットの片隅でこうやって「おもしろいよ!」と意見表明しているわけですが)

いよいよ残り3回、「東京オリムピック噺」を最後どう決着つけるのか、楽しみなような、終わってしまうのが切ないような。
Blu-ray BOX出たら必ず買います!NHKさん、ゆっくりでいいので情報待ってます!!