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奥入瀬渓流落枝事件

こんにちは、静岡市葵区の弁護士の浅野智裕です。

今日は奥入瀬渓流落枝事件の話をしたいと思います。

ご存じの方も多いと思いますが、奥入瀬渓流とは、青森県十和田市にある奥入瀬川の渓流のことで、四季折々の美しい自然が楽しめるところです。

参考 一般社団法人十和田市観光協会のホームページの奥入瀬渓流について

今年の日弁連人権大会が青森県であったせいか、私のFBにも同業者の投稿のなかで奥入瀬渓流の美しい写真が多くありました。私はというと、昨今は土日も色々なイベントがあり、最近は人権大会からは足が遠のいていますが。

そして、同業者の弁護士も美しい自然を堪能しに行っていると思うのですが、実は奥入瀬渓流では有名な裁判になった場所であって、同業者の弁護士の多くもそれを意識して観光しているのではないかと思います。弁護士は現地確認も重要な仕事で(常に現地に行くわけではないですが)有名な裁判になった地にあえて観光を兼ねていく人は多いのです。

そこで、有名になった奥入瀬渓流落枝事件とは、奥入瀬渓流落木事件であったり、奥入瀬渓流落枝受傷事件などと呼ばれたりしますが、すべて同じ事件のことを指しています。この事件は、平成15年8月に奥入瀬渓流を観光していた観光客が突然落ちてきたブナの木に当たり、重い障害が残ったとして、国、県を訴えたものです。

結果として、1審(東京地判18.4.7)、2審(東京高判H19.1.17)ともに国、県の責任を認めたという事案です。

ブログなので細かな検討は省略するのですが、奥入瀬渓流は国立公園で、美しい自然を保護し、守っているところであることから手つかずの自然になっていて、そのような場所での落ちてきた枝による受傷であっても、裁判所は細かな管理状況などから国や県の管理の瑕疵を認めたということで珍しい事案であるとともに、実務にも参考になる裁判例になります。

以上のことから、裁判では物事は簡単に判断されるものではなく、個別の具体的で詳細な事情から判断されるもので安易な判断は危ないということだと思います。