こんにちは、静岡市葵区の弁護士浅野智裕です。
今回も働き方改革の話の続きです。働き方改革関連法案のなかの大きな改正にいわゆる「同一労働同一賃金」というものがあります。
「同一労働同一賃金」は、名称そのものが法律や規定であるわけではありません。いわゆるというのは一般的にそのように呼ばれることが多いからです。
同一労働同一賃金ガイドラインも正式な名前は「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」と言われています。
法律の名前も「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」となっています。以前から短時間労働者の同様の法律がありましたが、今回は有期雇用労働者も追加されました。
法律の目的としては「短時間・有期雇用労働者について、~通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図」ることにあります(1条)
大雑把に言えば正社員と正社員以外の従業員との不合理な待遇の差別を禁止するものです。
この差別の禁止の内容として主に以下の2つがあります。
- 均等待遇規定
職務内容・職務内容、配置の変更範囲が同じ場合は差別的取り扱いを禁止するものです。これは改正以前にもパートタイム労働者にありましたが、今般の改正で有期雇用労働者も同様に取り扱うことになりました。
- 均衡待遇規定
職務内容・職務内容、配置の変更範囲、その他の事情を考慮して不合理な待遇差を禁止するものです。この規定は以前からありましたが、今般の改正では待遇差について、指針が定められました。
ちなみにガイドラインはこちらから見れます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html
厚生労働省HPより引用
以上の2つが主なものになります。
また重要なものにパートタイム労働者、有期雇用労働者は、雇用主に待遇差について説明を求めることができ、雇用主は説明する義務を負います。
これらの改正の施行は2020年4月1日、中小企業への適用は2021年4月1日になります。まだ1年以上ありますが、各会社も施行に向けて準備が必要になると思います。